「今の会社は給料が低いから転職したいけど、やりたい仕事がない」「何十年も働くのだから自分のやりたいことをしたいけど、やりたいことが見つからない」これは転職を考え始めたら、誰しもがぶつかる壁だと思います。
私も初めての転職では、今の仕事は辞めたいのに次にやりたいことがなかなか見つからず、苦労しました。やりたいことの探し方がわからなかったので、紆余曲折(専門家にキャリア相談したり、色々な会社の話を聞いたり)があり、やりたいことが見つかる頃には9ヶ月経っていました…
本記事では、私の実体験をぎゅっと整理して、やりたいことの見つける方法を解説します。
やりたいことは簡単に見つからなくて当たり前
「やりたいことが見つからない」ということに対して、すごく悲観的になっている人を見かけることがありますが、やりたいことはそう簡単に見つかるものではありません。なぜなら、何かに対して興味を持つには、その対象を深く知らなくてはならないのに、普通に生活していたら、そんな機会はほぼ無いためです。
たとえば、「SaaSのカスタマーサクセス職(CS職)」という仕事があります。仕事内容は「自社のSaaSを顧客に長く使ってもらえるように施策すること」です。
この仕事をやりたいと思いますか?おそらくこれだけではNOでしょう。しかし、以下の情報を知るとどうでしょう。少し興味が湧いてきませんか?
- CS職は、サブスクリプションサービスの台頭に伴い、注目され始めた職種。2000年代初頭にアメリカで生まれ、日本では2010年代後半から、取り入れる企業が増えている。
- LinkedIn社が2018年に発表した「最も有望な仕事」で、CS職は3位にランクイン。2019年に発表した分析レポートによると、全世界のCS職の求人数は2013年から2018年にかけて、約15倍に増えている。
やりたいことの見つけ方
やりたいことを見つけるためには、対象を知ることが不可欠ですが、それだけでは不十分です。なぜなら、その対象に興味を持つことができたとしても、それが本当に自分のやりたいことだとは限らないためです。せっかく転職したのに、「やっぱり違った…」みたいなのは避けたいですよね。自分が本当にやりたいことを見つけるために、以下の4ステップを試してみてください。
ステップ1.「将来どうなりたいか」を考える
「何をやりたいのか」を考える前に、「将来どうなりたいのか」考えましょう。なぜなら、「何をやるか」は、「どうなりたいか」を達成するための手段に過ぎないからです。「どうなりたいか」を無視した転職は、おそらくミスマッチを生みます。せっかく転職しても、それによって“なりたい自分”は実現できないためです。
「将来どうなりたいのか」とは、たとえば、以下のようなことです。
- 40歳までに資産を蓄えて、アーリーリタイアしたい
- 会社の看板が無くても生きていけるようになりたい
- 趣味に生きたい(給料は低くてもよいから、定時で上がって、趣味に時間を充てたい)
ステップ2.「将来どうなりたいか」を実現できそうなものを洗い出す
ステップ1で挙げた「将来どうなりたいか」を実現できそうな仕事や働き方を洗い出しましょう。その際は、以下をルールとしてください。
- “実現できる”ではなく、“実現できそう”のレベル感でOK
- 全く興味が湧かないものは除外する
- ITエンジニア
- Webマーケター
仕事の探し方としては、Google検索が役に立ちます。私は「手に職をつけられる仕事」みたいなキーワードで検索して、洗い出しました。「会社の看板が無くても生きていけるようになりたい」を実現できそうな仕事としては、弁護士や大工、介護士などもありますが、このあたりは全く興味が湧かなかったので除外しました。
ステップ3. 仕事を分解する
ステップ2で挙げた仕事を分解しましょう。なぜなら、「Webマーケター」では分類として粗すぎるため、たとえ仕事内容に興味を持てたとしても、実態は異なる可能性が高いためです。
たとえば、「Webマーケター」と一口で言っても、事業会社と支援会社どちらで働くか、どの領域を専門にするか(リスティング広告・SEO等)によって、仕事内容や働き方は全く異なります。
- 立ち位置:事業会社 or 支援会社
- 専門領域:リスティング広告/SEO/アクセス解析/SNS etc…
- 商材:有形 or 無形
おそらく予備知識なしで上記のように分類するのは不可能だと思うので、まずはGoogle検索や本で知識を集めましょう。私の場合、「Webマーケティング 仕事内容」「Webマーケティング 全体像」「Webマーケティング 種類」などで検索して、Webマーケの全体像をぼんやり掴むことで、仕事を分解できるようになりました。
ステップ4. 実際に会社の話を聞いて、働くイメージを深める
いよいよ最後のステップです。ステップ3で分解した仕事について、より理解を深めるために、実際にその仕事をしている会社に話を聞きに行きましょう。
インターネット検索で仕事内容を調べても、表層的なことしか載っていないことが多く、実際の仕事内容は自分のイメージと大きく乖離している可能性が高いためです。たとえば、Webマーケティングに興味がある人は、リスティング広告の運用支援会社や自社メディアを運用している事業会社などに話を聞きに行くとよいでしょう。
会社の話を聞きに行くには、Meety・Wantedly・Greenというサービスを使います。このサービスの特徴は、選考とは関係なく、話を聞きに行くことだけができる点です。中途採用のエントリーではないので、履歴書・職務経歴書の準備は不要です。また、当日のメインスピーカーは企業側なので、志望動機や自己PR等を考えていく必要もありません。企業側から会社説明を受けて、会社や仕事内容に関する質疑応答をするだけです。
たとえば、SEOの支援会社に話を聞きに行く場合、「やりがいは何か?」「どういう人が活躍しているか?」「同時に何社くらい担当するのか?」「1社につきどれくらいの期間担当するのか」などの質問を用意しておくと、実際に働くイメージが深まると思います(余談ですが、選考に進む前にこのあたりの話を聞いておけると、志望動機や自己PRを考えるときにもめちゃくちゃ役立ちます)。
仕事現場の話を聞いた結果、より興味が湧いてくれば、その仕事は自分にとって本当にやりたいことと言えるでしょう。逆に「あ、ちょっと違うな」とか、それまで検討すらしていなかった仕事を新たに発見して興味が湧いてきたりすることも多々あります。その場合は、ステップ2・ステップ3に戻って、再度掘り下げてみてください。
結論、どれでもよいです。気になる企業が登録しているサービスを使ってください。企業によって、登録しているサービスはばらばらなので、特定に企業に狙いを定めず、とりあえず色々な企業の話を聞きたいという人は、すべて登録しておくのがよいかなと思います(どのサービスにもお金はかかりません)。また自身のプロフィール情報を登録しておくと、企業からスカウトを受け取ることもできます。全く知らなかった業界や職種からスカウトをもらうと、自分の視野を広げるきっかけになるので、やりたいことを探すうえではかなり役立ちます。
「やりたいことを見つける」という段階で、転職エージェントは不要です。なぜなら、転職エージェントの仕事はあくまで職業紹介だからです。やりたいことはすでに見つかっている前提で、そのやりたいことを実現できる会社を紹介するのが転職エージェントの役割になります。
転職エージェントに登録すると、すぐに担当者との面談が設けられるのですが、そこでは、「あなたは何をしたいのか?」が最初に聞かれます。私の初めて転職活動では、やりたいこともない状態で転職エージェントに相談してしまったので、この質問に答えられず、相手はかなり困っていました笑
また、転職エージェントには、求職者に対するサポート期間が存在しており(たとえばリクルートエージェントは3ヶ月)、ここで無駄に時間を使ってしまうと、サポートしてほしいときにはすでに期限を迎えていることが起こりえます。やりたいことが見つかるまでは転職エージェントは使わないようにしましょう。
どうしてもやりたいことが見つからない場合
「将来どうなりたいか」が全くなく、やりたいことが考えられないという場合は、やや消極的ですが、以下の方法でやりたいことを探していくのも手です。
- 自分の経験やスキルを活かせることを探す
- やりたくないことをピックアップする
自分の志向が見えてきたら、ステップ2の要領でそれを実現できそうな仕事を洗い出して、ステップ3~4へと進んでください。