SIerの基礎知識

独立系SIerはやめとけ?ホワイトな独立系SIerはあります!

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独立系SIerに興味を持って調べていると、必ず「独立系はやめとけ」「独立系はブラック」というネガティブコメントを目にします。ただ、断言します。

独立系SIerのなかにもホワイト企業は存在します。私は約5年間独立系SIerに勤めていましたが、毎月の残業時間は最大でも20時間、有給は好きなときに取れて、毎月3万円の家賃補助も出ていました(年収としても結構もらえていたと思います)。

本記事では、なぜ独立系SIerはブラックと言われるのか、ホワイトな独立系SIerを見極めるにはどうすればよいのかを解説します。

すべての独立系SIerがブラックなわけではない

SIerのピラミッド構造
独立系SIerは必ずしもブラックではありません。ホワイト企業も存在します。しかし、メーカー系・ユーザー系と比べると、ブラック率が高いのは事実です。なぜなら、独立系SIerは、多重下請け構造の下層に分布していることが多いからです。

元請けはホワイトだが、下請けはブラックの傾向

独立系のSIerに限らず、SI業界はピラミッド型の下請け構造になっています。元請け(1次請け)が顧客から案件を受注して、2次請けに一部業務を委託します。そして2次請けは3次請けに業務を委託し、3次請けは4次請けに…(以下略)という方式です。その結果、元請けはホワイトで、下請けはブラックという図式が成り立ちます。

たとえば、元請けの場合、顧客と直接やり取りできるため、案件の全体像がわかりますし、プロジェクトスケジュールも融通が利きやすいです。顧客の要望実現が難しければ、顧客と調整できますし、プロジェクトの進行が遅れそうであれば、無理に間に合わせようとする前に、顧客に相談することで期限を調整することもできます。また、顧客が発注した金額すべてが売上になるため、手元に残る資金も多く、その結果、会社から従業員への還元(給料)も多くなります。

反対に、下請けの場合、顧客と直接やり取りできないため、案件の全体像はわからず、プロジェクトスケジュールも融通が利きません(元請けから案件情報や顧客とのやり取り状況を聞くことはできますが、情報は断片的です)。

たとえば、プロジェクトの進行が遅れそうな場合でも、スケジュールを遅らせることはできません。そのスケジュールは、元請けが問題ないと判断し、すでに顧客と合意したものだからです。どうしてもスケジュール遵守が難しい場合は、元請けに相談できなくもないですが、かなりハードルは高いでしょう。元請けから自社に対する信頼が下がりますし、元請けとしても、顧客にその相談をすると、今度は顧客から元請けに対する信頼が下がってしまうためです。また、下請けの売上は、元請けや一階層上の下請けが確保した金額を差し引いたものになるので、当然小さくなります。その結果、会社から従業員への還元(給料)も下がります。

元請けより下請けのほうが圧倒的に多い

独立系SIerに限らず、SI業界全体で見ても、元請けのSIerは希少で、下請けSIerのほうが圧倒的に多いです。しかし、独立系SIerはメーカー系・ユーザー系よりもその傾向が強く、かなりピンキリなのです。イメージとしては、メーカー系・ユーザー系SIerの多くが2次請けに分布している一方で、独立系は3次請け以下を中心に分布している感じです。独立系SIerは下請けピラミッドの裾野が広く、これが「独立系はやめとけ」「独立系はブラック」と言われるゆえんです。

独立系SIerも下請けする

「独立系」という言葉の響きから、独立系SIerは孤高の存在で、元請け案件しか対応していないと思われがちですが、実際は下請け案件中心の企業がほとんどです。

ホワイトな独立系SIerを見極める方法

全案件に占めるプライム案件(元請けの案件)の割合が多いSIerは、ほぼ確実にホワイトです。ホワイトな独立系SIerに入りたい人は、プライム率が高いSIerを選びましょう。しかし、このプライム率を確認する方法はかなり限られていて、四季報やIR情報などには掲載されていません(その企業がプライム率の高さをアピールポイントにしていたら載っているかもしれませんが、基本掲載していません)。結論、プライム率を確かめる唯一の方法は、誰かに聞くことです。

企業の採用担当者や従業員に聞く

企業の問い合わせ窓口や面接、WantedlyやGreenなどの転職媒体を使って、企業の採用担当者に聞きましょう。「御社のプライム率はどれくらいですか?」「どれくらいの割合でプライム案件を担当されていますか?」など、単刀直入に聞いてOKです(規模が大きい会社の場合、事業部によってプライム率が異なることもあるので、配属希望する事業部の数字もヒアリングできるとベターです)

プライム率が低いSIerの採用担当者は、その質問をされると少し顔をしかめるかもしれませんが、まったく失礼な質問ではありません。その会社に勤めている知り合いがいれば、その知り合いに聞いてみましょう。

転職エージェントに聞く

採用担当者に直接聞くのはハードルが高い場合は、転職エージェントに質問しましょう。聞き方は、上述のとおり、単刀直入に聞いてOKです。転職エージェントの担当者によっては、その場ですぐに答えられない人もいますが、その場合は、転職エージェントから企業側に確認を取ってもらえるので、問題はありません。

プライム率と企業規模は関係ない

プライム率と企業の大きさは全く関係ありません。東証一部上場のSIerでもプライム率30%のところはありますし、逆に、上場していなくてもプライム率の高いSIerはいます。入社するSIerは規模で選ばず、必ずプライム率を聞きましょう。

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